「転職したい気持ちはあるが、どこに転職すればよいかわからない」と感じているケアマネジャーは少なくありません。ケアマネの転職先を間違えると、職場や職種は変わっても「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクがあるので注意が必要です。
この記事では、ケアマネの主な転職先3つの特徴を解説します。記事を読めば、転職先の特徴を整理したうえで、働き方・担当件数・生活スタイルの軸から自分に合う転職が実現できます。
ケアマネ転の職先を選ぶ際は各機関の特徴を知る作業が不可欠です。居宅・施設・地域包括支援センターそれぞれの違いを把握して、自分のNG条件や理想の働き方と照らし合わせましょう。
ケアマネジャーの主な転職先3つ

ケアマネ転職の選択肢として、以下の3つの職場を解説します。
- 居宅介護支援事業所(ケアマネ業務に集中できるスタンダードな転職先)
- 介護施設(担当件数は多いが収入アップの可能性がある)
- 地域包括支援センター(多職種連携と地域全体を支える働き方)
居宅介護支援事業所(ケアマネ業務に集中できるスタンダードな転職先)
居宅介護支援事業所は在宅で生活する利用者を支援します。ケアマネとして最も一般的な転職先であり、求人数も豊富な環境です。介護業務との兼務がない点も特徴で、ケアマネジメントに専念したいケアマネに向いています。担当件数は最大45件(事務員が配置されている場合は50件)に定められており、職場環境によって担当件数はまちまちです。
一方で、外回りが多く移動時間がかさみやすい面があります。チームで動く機会が少なく、個人で判断する場面が多い点を負担に感じる人もいます。
事業所の規模によって働き方にも差がある点も特徴です。ケアマネが2〜3人の小規模事業所では、すべての判断を自分で行う裁量がある反面、相談相手が少ないため孤立感を抱えやすくなります。複数人体制のケアマネ事業所であれば、困ったケースを同僚に相談しながら進められるため、経験の浅い方にはおすすめです。
実際、担当件数より「隣に相談できるかどうか」の方が、ケアマネの消耗度を左右することが多くあります。前職では35件でも追われていたが、複数人体制の事業所に転職したことで45件担当しても余裕が生まれたというケースは珍しくありません。
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ケアマネ経験の浅い時期ほど、仕組みと人的サポートが整った事業所を選ぶことが、長く仕事を続けるための条件になります。
介護施設(担当件数は多いが収入アップの可能性がある)
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどの介護施設で勤務する「施設ケアマネ」は、施設内の入居者にケアプランを提供します。
入居者と同じ建物内で働くため状態変化をリアルタイムで把握しやすく、介護職員や看護師との多職種連携がとりやすい環境です。施設ケアマネは施設内のチームで動く仕事が好きな人に向いています。
担当件数は施設の規模によって異なりますが、大規模施設では100件前後になることもあります。介護業務や夜勤との兼務が発生する施設もあるため、入職前に確認が必要です。夜勤手当や兼務による処遇改善加算が加わることで、収入が上がるケースもあります。
施設の種類によっても業務内容に差がある点も特徴です。特別養護老人ホーム(特養)は長期入所の利用者が中心で、ケアプランの見直し頻度が比較的安定しています。介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目標とするため、短期間でのプラン更新やリハビリ職との連携が求められます。
有料老人ホームは運営法人の方針によってサービスの自由度が異なり、求人ごとに詳細な条件を確認しておきましょう。
地域包括支援センター(多職種連携と地域全体を支える働き方)
地域包括支援センターは居宅や施設とは業務の性質が異なります。地域包括支援センターのケアマネは、個別のケアプラン作成が中心ではなく、地域全体の課題解決や他のケアマネへの後方支援が主な業務です。地域包括支援センターで務めるメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 社会福祉士・保健師との多職種連携で幅広い専門知識が身につく | 利用者へ直接的なケアを提供できない |
| 行政・自治会・警察など多機関と連携するため視野が広がる | 一人の利用者を長期的に担当し続けることができない |
| 地域のケアマネへの後方支援や勉強会の主催を通じてスキルアップできる | 業務が多岐にわたりマルチタスク能力が求められる |
| 公的機関のため残業管理が厳格でワークライフバランスが取りやすい | 主任ケアマネの資格が採用条件となるケースが多く応募ハードルが高い |
| 行政の正規職員として採用される場合は給与・福利厚生が安定している | 部署異動によりケアマネジメント業務から離れる可能性がある |
居宅・施設ケアマネが「個別の利用者を点で支援する」のに対し、地域包括支援センターのケアマネは「地域全体を面で支える」役割を持ちます。個々のケアプラン作成だけでなく、地域課題の発見や他のケアマネへの支援、権利擁護まで業務の幅が広がります。
地域包括支援センターは地域福祉の仕組みづくりや多職種との連携に関心がある方に向いている転職先です。地域包括支援センターで勤務するには主任ケアマネ資格が必要な場合も多いですが、資格がなくても勤務できます。地域の求人ではなかなか求人がでないこともあるので、転職エージェントの活用なども有効です。
ケアマネジャーが転職先を選ぶ2つの軸

ケアマネジャーが転職先を選ぶ軸について、以下のポイントに分けて解説します。
- 業務量・担当件数で選ぶ
- 生活スタイル・ワークライフバランスで選ぶ
担当件数・業務量を軸に選ぶ
利用者一人ひとりにじっくり関わりたい場合は、居宅ケアマネが向いています。担当件数の上限が35〜44件程度に設定されており、個別のケアマネジメントに集中しやすい環境です。ただし、利用者宅への訪問や家族対応、外部事業所との調整など業務の幅は広く、件数以上に時間を取られる場面も少なくありません。
施設内で安定した働き方を優先する場合は、施設ケアマネも選択肢に入ります。担当件数は最大100件と多くなりますが、利用者が同じ建物内にいるため移動の負担がなく、看護師や介護職員とすぐに連携が取れる点がメリットです。一方で介護業務との兼務が発生する可能性があり、ケアマネ業務に専念できるかは事業所の体制次第です。
地域全体のマネジメントに関わりたい場合は、地域包括支援センター勤務という選択肢もあります。個別のケアプラン作成よりも、地域課題への対応やケアマネへの後方支援が主な業務になります。より広い視野で仕事をしたい方、行政や多職種との連携に関心がある方に向いている働き方です。
生活スタイルを軸に選ぶ
家庭や育児、介護との両立を重視する場合は、自分の生活リズムに合った働き方ができるかどうかがケアマネの転職先選びの最優先事項になります。各ケアマネ転職先の勤務時間や休日の特徴は以下のとおりです。
| 転職先 | 勤務時間 | 休日 | 生活面での注意点 |
|---|---|---|---|
| 居宅 | 日勤のみ | 土日休みが多い | スケジュールを自分で調整しやすい反面、休日の電話対応を求められる事業所もある |
| 施設 | 日勤中心だが兼務時はシフト制の場合あり | シフトによる | 移動がなく勤務時間の見通しが立てやすい。ただし介護兼務の場合は夜勤が発生する可能性がある |
| 地域包括支援センター | 日勤のみ | 土日祝休みが多い | 残業管理が厳格で定時退勤しやすい。行政対応や地域活動への参加が求められる場面がある |
どの転職先を選ぶにしても、求人票の情報だけでは実態がわからないことがあります。転職エージェントを活用すれば、実際の残業時間や休日対応の有無など、求人票に載らない職場の内情を事前に確認できます。
転職先ごとに面接・見学で確認すべきこと

転職先の種類を絞れたら、次は応募先の職場が自分に合うかどうかを見極める段階です。転職先ごとに面接・見学で確認すべきことは以下のとおりです。
- 居宅:管理者のマネジメントスタイルを確認する
- 施設:介護業務との兼務範囲と夜勤体制
- 地域包括:委託か直営かで待遇が変わる
居宅:管理者のマネジメントスタイルを確認する
居宅介護支援事業所では管理者との距離が近く、マネジメントの方針が日々の業務に直結します。居宅介護支援事業所の面接や見学の際には以下の点を確認してください。
- ケアプランの作成方針はどの程度個人の裁量に任されているか
- 困難ケースを抱えたときの相談体制はどうなっているか
- 管理者が細かく指示を出すタイプか、基本的に任せるスタイルか
同じ居宅でも管理者のスタイル次第で働きやすさはまったく異なります。加えて、事業所の体制面で確認しておきたいポイントが3つあります。
ICTの活用状況
ICTを活用している事業所ではケアマネ1人あたりの労働時間がおよそ3〜12時間短くなっているというデータがあります。タブレットでの訪問記録やチャットアプリによる情報共有が導入されていれば、書類作成の負担が大幅に軽減され、ケアマネジメント業務に集中しやすい点がメリットです。
ケアプランデータ連携システムと事務職員の配置を満たす事業所では担当件数の上限が50件まで引き上げられます。ICT化が進んでいる事業所ほど経営的にも安定しやすい傾向にあります。
法人の規模
居宅介護支援は小規模な事業所が多く、事務職員を配置しているのは全体の36.5%にとどまります。法人規模による違いは以下のとおりです。
- 大規模法人:研修制度や福利厚生が充実しやすく、特定事業所加算を取得している事業所は収支も安定している傾向
- 小規模法人:裁量の自由度が高い反面、業務負担が個人に集中しやすい
ケアマネの在籍人数
1事業所あたりのケアマネの平均人数は2.7人ですが、1人しかいない事業所も少なくありません。複数のケアマネが在籍していれば日常的にケースの相談や情報共有ができるため、孤立感を抱えにくく、専門性の向上にもつながります。
施設:介護業務との兼務範囲と夜勤体制を確認する
施設ケアマネの求人では「ケアマネ専任」と書かれていても、実際には介護業務を兼務するケースがあります。兼務の有無だけでなく、兼務する場合の業務比率(ケアマネ業務が何割か)まで確認することで、入職後のギャップを防げます。
施設ケアマネで夜勤がある場合、頻度や回数も事前確認が欠かせません。月に何回の夜勤があるか、夜勤手当はいくらかを具体的に聞いておくと、収入のシミュレーションにも役立ちます。
地域包括支援センター:委託か直営かで待遇が変わる
地域包括支援センターには、市区町村が直接運営する「直営型」と、社会福祉法人や医療法人などに運営を委託する「委託型」の2種類があります。全国的に見ると直営型の地域包括支援センターは約2割、委託型は約8割を占めており近年は委託型が増加傾向です。
直営型で採用される場合は公務員またはそれに準じた待遇となり、自治体の給与規定に基づく安定した給与、充実した福利厚生、年功序列による昇給が見込めます。直営型では異動がある点に注意が必要ですが、長期的な雇用の安定性はメリットです。
一方、委託型は運営法人の種類や規模によって待遇が異なります。委託型の地域包括支援センターで確認するポイントは以下のとおりです。
- 運営法人の種類(社会福祉法人・社会福祉協議会・医療法人・NPO法人など)
- 給与体系と昇給制度の有無
- 賞与の支給実績
- 福利厚生や退職金制度の内容
- 委託契約の更新頻度’契約が更新されない場合、雇用が不安定になるリスクがある)
同じ「地域包括支援センター」の求人でも、直営か委託か、法人の種類で働き方や将来の安定性が異なります。地域包括支援センターの求人に応募する前に、運営形態を確認しましょう。
ケアマネジャーの転職先を絞り込むための確認ポイント

ケアマネの転職先の種類と特徴を把握したうえで、最後に自分の動機と照らし合わせて候補を絞ります。ケアマネの転職先を絞り込む際に確認すべきポイントは以下の2つです。
- 転職の動機と転職先の強みが一致しているか
- 今の職場から何を変えたいかを言語化できているか
転職の動機と転職先の強みが一致しているか
転職の動機と転職先の強みが一致しているかは以下のポイントをチェックします。
| 転職の動機 | おすすめ転職先 |
|---|---|
| 人間関係をリセットしたい | 規模の大きい居宅・施設 |
| 収入を上げたい | 施設(兼務・夜勤手当) |
| 残業・夜勤を減らしたい | 地域包括支援センター |
| ケアマネの専門性を磨きたい | 居宅・地域包括支援センター |
動機が複数ある場合は、優先順位をつけることで候補を絞りやすくなります。「収入も上げたいし夜勤もなくしたい」のようにすべてを満たす転職先は限られるため「最も譲れない条件は何か」を1つ決めてから比較するのが効果的です。
» ケアマネジャーの退職理由TOP5!面接で受かる例文も紹介
今の職場から何を変えたいかを言語化できているか
転職先を選ぶ前に、現職の何が不満で何を変えたいのかを具体的に整理してください。「何を変えたいか」と同じくらい重要なのが「何は変えたくないか」です。
たとえば、利用者との関わり方に満足している、職場の雰囲気が良い、通勤距離が短いなど、現在の職場で気に入っている部分は転職後も維持したい条件として明確化が必要です。
変えたい条件と変えたくない条件の両方が整理できていれば、求人を比較する際の判断基準が定まり、応募先を効率よく絞り込めます。逆に条件の整理が不十分なまま転職活動を始めると、面接で志望動機を聞かれた際に説得力が弱くなるだけでなく、入職後に「前の職場の方がよかった」と後悔するリスクも高まります。
転職活動は動き出す時期によって選べる求人の数が変わる点にも注意が必要です。自分の動機を整理したうえで、求人が増えるタイミングに合わせて行動に移してください。
» ケアマネジャーの転職に適したタイミングは?時期と判断基準を解説
自分に合ったケアマネジャーの転職先を見つけよう

ケアマネの転職先は、居宅・施設・地域包括支援センターの3つが主な選択肢です。担当件数や介護兼務の有無、夜勤体制・休日の取りやすさが異なるため、自分が「何を変えたいか」を起点に比較すると候補が絞りやすくなります。
転職先の種類を絞ったあとは、面接や見学の場で職場ごとの実態を確認しましょう。居宅なら管理者のスタイル、施設なら兼務範囲と夜勤体制、地域包括支援センターなら運営形態を確認することで、入職後のギャップを防げます。
転職先の特徴を把握したうえで、情報収集と求人確認から始めてみてください。
» ケアマネジャーの転職ガイド!失敗しないためのロードマップ解説
