- 40代・50代の主力社員による突然の退職リスクを懸念している
- 従業員の「仕事と介護の両立」を支援したいが、具体的な対策に悩んでいる
- 人的資本経営の一環として、介護離職防止に向けた環境整備を進めたい
少子高齢化が加速する現代において、企業の中核を担う人材の確保は競争力を左右します。しかし、働き盛り世代を襲う「介護離職」は表面化しにくく、企業が実態を把握しきれないまま貴重な戦力を失うケースが後を絶ちません。
この記事では介護離職を取り巻く現状や社会的背景、企業が被る経済的損失、従業員の離職を防ぐための対策を解説します。記事を読めば介護離職の本質を理解し、自社の人材定着戦略や制度設計に生かすヒントが得られます。
介護離職を防ぐには従業員が親の介護のことを気軽に相談できる場所や風土、企業内の制度が必要です。介護離職の防止は単なる福利厚生ではなく、企業の生産性維持とリスク管理に直結します。企業の人事担当者は介護離職の現状を知り、有効な対策を立案しましょう。
介護離職を取り巻く現状と社会的背景

総務省の調査によると介護離職者は年間約10万6,000人に達しており、依然として高い水準で推移しています。「仕事か介護か」の二者択一を迫られる環境が解消されていない点が、根本的な原因です。介護離職を取り巻く現状と社会的背景は以下の要素を解説します。
- 介護離職の現状
- 2030年に急増する「ビジネスケアラー」
- 働き盛り世代に集中する介護負担
介護離職の現状
政府は2015年に「2020年代初めまでに介護離職ゼロを達成する」と目標を掲げました。しかし、現実は介護を理由に離職する人の数は依然として高止まり傾向です。総務省の就業構造基本調査などを見ても、年間約10万人前後が介護を理由に離職する実態が確認できます。
介護離職者が減らない原因は核家族化など社会構造の変化に、企業の働き方改革や個人の意識変革が追いついていないからです。企業にとっては採用難の時代において、社員が介護を理由に離職することは大きな痛手となります。「変わらない現状」を直視することが、実効性のある対策を講じるための第一歩です。
» 厚生労働省「介護離職ゼロ ポータルサイト」(外部サイト)
2030年に急増する「ビジネスケアラー」

近年、人事領域で注目されているキーワードが「ビジネスケアラー」です。ビジネスケアラーとは仕事をしながら家族の介護に従事する人の総称です。経済産業省の試算によると2030年には家族介護者の約4割にあたる318万人が、ビジネスケアラーになると予測されています。
従来「介護問題」への対応は、離職者に焦点が当たりがちでした。しかし、今後は仕事と介護を両立するビジネスケアラーの数が、水面下で潜在的に大幅に増加すると予測されています。ビジネスケアラーは時間的な制約や精神的負荷を抱えながら業務を遂行しており、適切なサポートがなければ生産性の低下や心身の不調を招きかねません。
介護は平均で4年7か月続くと言われています。ビジネスケアラーへの支援は優秀な人材を守るために、企業がすぐに取り組むことが推奨される重要な経営課題です。
» 公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(外部サイト)
働き盛り世代に集中する介護負担
介護が始まる時期は、親世代が70代後半から80代に差し掛かるタイミングと重なり、介護者は主に40代・50代が中心となります。40代・50代は企業において管理職や熟練の技術者として活躍する、会社の屋台骨となる働き盛り世代です。
働き盛り世代の介護を原因としたパフォーマンス低下や突然の離職は、組織運営そのものを深刻に揺るがす事態を招きかねません。部下のマネジメントや重要プロジェクトの責任者など、会社の中核を担う人材に介護リスクが集中します。
働き盛りの社員への介護支援は、会社を守り、長く存続させるために今すぐ最優先で取り組むべき戦略的な防衛策です。
介護離職者の特徴3選

介護離職する方の特徴は以下のとおりです。
- 40代·50代の「企業の中核人材」が最多
- 正規雇用の女性に多い離職傾向
- 介護開始から「1年以内」の早期離職
介護離職する人は40代·50代の「企業の中核人材」が最多
介護離職が企業にもたらす最大の痛手は単なる労働力の欠如だけではありません。介護離職者のボリュームゾーンである40代・50代の社員は、キャリアの成熟期にあります。40代・50代の社員の企業における価値と介護離職をすることでもたらすリスクは以下のとおりです。
| 企業における価値(キャリア) | 離職がもたらすリスク |
| 経営・業務の中核(管理職、熟練技術者、主要顧客担当) | 無形資産の流出(ノウハウ・技術) |
| 代替不可能な知財(ノウハウ、顧客との信頼関係) | 組織運営の不安定化(マネジメント機能の停止) |
人材層が薄い中小企業では40代・50代の中核人材が持つ技術や事業に関わる知識を失うことは、事業の根幹を揺るがしかねません。40代·50代の企業の中核人材が保持する社内ノウハウや顧客関係性といった知財は代替不可能な資産です。
企業の中核人材への介護離職防止の取り組みは、会社が競争力を保つためにも重要な経営戦略として不可欠になります。
» 厚生労働省「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実に関する参考資料集」(外部リンク)
» 総務省「就業構造基本調査」(外部リンク)
正規雇用の女性に多い介護離職傾向

介護離職は正規雇用の女性に多く発生しており、女性活躍推進の観点からも大きな問題となっています。家庭内や職場における「女性が介護の担い手である」という昔ながらの役割分担意識が、いまだ根強く残っていることが原因です。
介護離職者全体の約7〜8割を女性が占めており、キャリアを中断して非正規雇用への転換や無職を選ぶケースも多く見られます。しかし、女性は本来、困難な状況を打破してリーダーシップを発揮する強い存在です。高市早苗総理大臣が憲政史上初の女性総理として就任したように、女性の持つ決断力や突破力は重要な戦力になります。
優秀な女性社員のキャリアが途絶え貴重な労働力が失われることは、企業の成長力を削ぐことにつながるため早急な対策が必要です。
介護開始から「1年以内」の早期離職
介護離職は「介護開始から1年以内」の早期に集中しています。介護は予期せぬ形で突発的に始まることが多いため、従業員は心の準備や制度の知識がないまま事態に直面し、パニックに陥りやすいからです。
責任感の強い社員ほど「職場に迷惑をかけたくない」という気持ちから、介護の初期の混乱期に十分考えずに辞めるという結論を出してしまいがちです。しかし、実際には最初の数か月間を乗り切るための適切なサポートがあれば、体制が整い仕事と介護の両立が可能になるケースが多く存在します。
介護離職を考える従業員に企業ができる対策は以下のとおりです。
| 期間 | 従業員が抱える状況 | 企業ができる対策 |
| 介護開始直後(初期の混乱期) | 突発的な事態に直面し、精神的にパニック状態に陥る | 情報・相談窓口の即座な提示(パニック状態での安易な離職を防ぐ) |
| 数か月後(体制整備期) | 「辞めなくては」という極端な判断をしやすい | 柔軟な働き方の適用と制度利用の説得 |
| 1年以降 | 公的サービスや社内体制の利用により、両立の道筋が見え始める | 定期的なフォローアップ(復職支援、継続的な制度利用促進) |
企業の人事部門は適切な情報提供と支援により、介護初期の混乱期を乗り越えるためのサポート体制の確立が求められます。
» オールアバウト「6割が1年以内に退職。介護離職した人の実情」(外部サイト)
介護離職がもたらす問題点

介護離職は個人と企業の双方に不利益を与えます。介護離職がもたらす問題点は以下のとおりです。
- 収入減と精神的負担の二重苦
- 再就職の困難さと貧困転落のリスク
- 企業が被る9兆円の経済損失
介護離職後の収入減と精神的負担
「仕事を辞めれば介護に専念できて楽になるはず」と考えて介護離職する人は多いですが、現実はそう甘くありません。介護のための一時的な費用は平均47.2万円、月々の費用も平均9.0万円が必要です。介護費用を親の年金だけで賄うのは困難であり、自身の老後資金の取り崩しにつながり家計は一気に逼迫します。
仕事を失うことで「社会から取り残されている」という焦燥感や、介護に追われる閉塞感に襲われることも問題です。精神的に追い詰められ、介護うつになってしまうケースも多くあります。
介護離職後に待っているのは経済的な困窮と精神的な孤立という二重苦です。企業の人事部門は介護離職が安易な解決策ではないという事実を社員に周知徹底する必要があります。社員が介護離職を決断する前に支援制度を活用できるよう情報提供を強化することが、自社を守るための戦略的な防衛策です。
介護離職後の再就職の困難さと貧困転落のリスク

介護離職をすると元の収入レベルでの再就職が困難になり、将来の貧困につながるリスクを高めます。介護離職者が多い40代・50代の再就職は、年齢と介護条件が重なり正社員採用が困難になるためです。結果として介護離職後は非正規雇用を選ばざるを得ず、年収が半減してしまうケースも多く見られます。
現在の収入が減るだけでなく、非正規雇用では将来受け取れる厚生年金の受給額も減額される以下の点も問題です。
- 収入と年金:非正規雇用への転換は、現在の収入だけでなく、将来の厚生年金支給額も大幅に減額させる
- 長期的な打撃:老後の生活費が不足する「年金受給額の穴」が生じ、その影響は老後の数十年間に及ぶ
介護離職した社員自身が高齢者になったとき、貧困の連鎖に陥る恐れがあります。企業には従業員が追い詰められた状況で介護離職をする判断が、将来を狂わせるリスクがあることを寄り添って伝える姿勢が必要です。
企業が被る「9兆円」の介護離職による経済損失
ビジネスケアラーの離職や介護による疲労、集中力低下に伴う経済損失額は、2030年時点で約9兆円に上るとされています。 一人の従業員が辞めることで発生するコストは、採用費や教育費だけではありません。介護離職した従業員が抜けた穴を埋めるための周囲の残業代や業務の遅延による機会損失も含まれます。
介護で辞めざるを得ない会社というレピュテーションリスク(評判の低下)も企業にとっては大きな痛手です。しかし、仕事と介護を両立できれば、優秀な人材の獲得競争で武器となるだけでなく、既存社員の愛着心や定着率も向上させます。
介護支援は、ネガティブなリスクの回避だけでなく、企業ブランドと競争力強化に直結する未来への戦略的投資です。
» 経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」(外部サイト)
介護離職に至る3つの原因

介護離職に至る原因は一つだけではありません。予期せぬ介護の発生で従業員が追い詰められることに加え、企業側の両立支援策や柔軟な働き方の不足が重なり、介護離職は発生します。介護離職に至る原因は以下のとおりです。
- 両立可能な働き方ができないから
- 社内制度が周知不足だから
- 家族介護が当たり前だと考えているから
介護と仕事の両立可能な働き方ができないから

介護離職の際に「仕事と介護を両立するための柔軟な働き方ができなかった」という理由が最も多く挙げられます。国や企業の介護休業制度の周知不足が原因として考えられます。国が用意している介護休業制度は以下のとおりです。
| 制度名 | 制度の概要(内容) |
| 短時間勤務の制度 | 日、週、月などの期間を単位として、勤務時間や勤務日数を短縮する制度 |
| フレックスタイム制度 | 3か月以内の総労働時間を定めておき、従業員が始業・終業時刻を自分で決めて働く制度 |
| 時差出勤の制度 | 1日の労働時間は変えずに、出勤・退勤時刻を早めたり、遅くしたりする制度 |
| 介護サービスの費用助成 | 従業員が利用する介護サービスの費用を企業が助成する制度、またはこれに準ずる支援 |
単純に介護といってもデイサービスの送迎や通院の付き添い、急な体調変化への対応など、時間的な制約が頻繁に発生します。フルタイム出社や固定時間勤務しか選択肢がない職場では、物理的に介護と仕事の両立が不可能です。特に突発的な対応が必要な介護において、時間と場所の融通が利くかどうかは、就業継続の生命線となります。
» 厚生労働省「育児介護休業法について」(外部サイト)
介護離職に関する社内制度が周知不足だから

「会社に介護休業制度があることを知らなかった」「自分に対象資格があるかわからなかった」という理由で離職する人が多くいます。制度周知不足が招く離職のメカニズムは以下のとおりです。
- 無知による損失:制度を知らないために、制度がないと思い込み離職する
- 情報への壁:混乱期に規則を読む余裕がなく、利用できる制度を見つけられない
- 企業の無策:企業が日常的な情報発信を怠り、制度を形骸化させている
法律で定められた制度であっても、従業員がそれを認識していなければ存在しないのと同じです。いざ介護に直面した従業員は、パニック状態で就業規則を読み込む余裕などありません。介護休業の制度があることを「知っている」状態を作っておくためには、日頃の情報発信が重要になります。
家族介護が当たり前だと考えているから
制度や環境の問題に加えて、従業員自身の意識の壁も介護離職の要因です。真面目な従業員ほど仕事も介護も完璧にこなそうとしてパンクしてしまいます。「親の面倒は子どもが見るべき」「他人に迷惑をかけてはいけない」という責任感の強さが、かえって仇となるケースです。
介護サービスの利用に罪悪感を持ったり職場に弱みを見せられず一人で抱え込んだりした結果、疲弊しきって離職を選択してしまいます。介護はプロの手を借りて行うものであり、仕事と両立するためには適切な手抜きが必要です。
介護離職防止のための企業と国の対策

介護離職を防ぐために国や一部の企業は、支援制度や柔軟な働き方を実現するための仕組みや相談体制を準備しています。介護離職防止のために企業と国が講じている以下の対策について解説します。
- 企業:実態把握と風土醸成
- 国:介護休業·休暇制度と給付金のフル活用
企業:介護離職の実態把握と風土醸成
制度を整備する前に企業がまず行う作業は従業員の実態把握です。無記名のアンケートなどを実施し、現在介護中の人がどれくらいいるのか、数年以内に介護が発生しそうな予備軍を調査します。 従業員の実態把握調査は厚生労働省にもシートが用意されており、質問項目は以下のとおりです。
- 介護経験と潜在リスクの把握
- 職場への開示状況と相談先
- 介護に関する不安の具体化
- 理想の働き方と離職意向
- 企業制度と職場環境の認知度
心理的安全性の高い職場づくりが人材の流出を防ぐ鍵です。心理的安全性とは組織の中で自分の意見や疑問、懸念を表明する際に罰せられたり、拒絶されたりすることなく発言できる状態を指します。介護離職を防ぐには経営トップおよび管理職が「仕事と介護の両立を組織全体で応援する」というメッセージを発信する姿勢が求められます。
» 厚生労働省「仕事と介護の両立支援 実態把握調査票」(外部サイト)
国:介護離職防止のための介護休業·休暇制度と給付金のフル活用
国が定めている介護と仕事の両立支援制度を従業員が活用できるように準備しておくことも、介護離職を防ぐうえで有効です。国が定めている介護と仕事の両立支援制度は以下のとおりです。
| 項目 | 介護休業制度 | 介護休暇制度 |
| 目的 | 長期的な介護体制を整備するため、一定期間の休業を取得する | 突発的な通院の付き添いや手続きのため、短時間または日単位で休暇を取得する |
| 取得可能日数・期間 | 対象家族一人につき、通算93日まで。3回を上限として分割取得が可能 | 対象家族一人につき、年5日まで(対象家族が2人以上の場合は年10日)。1時間単位での取得も可能 |
| 対象家族 | 配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫 | 配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
| 賃金の支払い | 法律上の支払い義務はなし(無給でも問題ない)。ただし、企業独自の規定がある場合がある | 法律上の支払い義務はなし(無給でも問題ない)。ただし、企業独自の規定がある場合がある。 |
| 雇用保険 | 要件を満たせば雇用保険から介護休業給付金が支給される | 給付金制度はない |
| 対象となる従業員 | 期間の定めのない雇用契約の者。有期雇用契約の場合、一定の要件(入社1年以上、93日経過後も雇用継続の見込みがあるなど)を満たす必要あり。 | すべての従業員(有期雇用者含む)。ただし、入社6か月未満では労使協定で除外される場合がある |
休業中には賃金の67%が支給される「介護休業給付金」も利用可能です。人事担当者は制度の申請方法やメリットをわかりやすく従業員に提示し、経済的な不安を軽減できるようにサポートしましょう。
介護離職を防ぐために「今」からできる事前の備え

介護離職を防ぐために事前にできる備えは以下のとおりです。
- 親が元気なうちに将来のことを話しておく
- 会社の就業規則で介護関連の規定を整えておく
- 親の住む地域の地域包括支援センターを調べることを周知する
親が元気なうちに介護のことを話しておく
介護離職を防ぐための準備は親が元気なうちから始まっています。親が倒れてからでは意思の疎通が難しくなる場合があります。親が元気なうちから確認しておくと良い情報は以下のとおりです。
| 確認すべきこと | 話し合う目的・重要性 |
| 介護のキーパーソン | 介護が必要になった際、主に誰が責任を負うか家族間の役割分担を明確にする |
| 財産と費用の確認 | 親の年金、貯蓄、保険の状況を確認し、介護費用負担のシミュレーションを行う。 |
| 親の意向(リビングウィル) | 親が望む生活(在宅・施設)や、延命治療の希望などを把握し、後で後悔する選択を避ける |
| サービス利用への合意 | 介護を家族だけで抱え込まずプロのサービス利用を前提とすることを親子で確認し合う |
| 公的窓口の共有 | 介護が必要になった際に最初に相談すべき公的窓口(地域包括支援センター)の連絡先を家族間で共有する |
金銭的な事項や実際の介護が必要になった際の具体的な対応は、切り出しにくいデリケートな話題です。しかし「これからの安心のために」という文脈で事前共有することで、もしもの時のパニックを防ぎ、迅速な対応が可能となります。
人事担当者が外部の専門家によるセミナーや相談窓口を設け、従業員が介護の準備を進めるための機会と環境を提供することが推奨されます。
会社の就業規則で介護離職関連の規定を整えておく

企業の人事担当者は従業員が実際に介護に直面する前に、自社の支援制度や公的サービスについて確認を促しましょう。 人事担当者は40歳になる従業員向けの研修などで、以下の具体的なアクションを伝えることが効果的です。
- 介護ハンドブックの作成と配布
- 仕事と介護の両立制度の具体的な説明
- 初期相談窓口の連絡先提示
「もし明日、親が倒れたら、まずはこの窓口に電話してください」と具体的なアクションを伝えておくだけでも、従業員の安心感は高くなります。仕事と介護の両立支援に関する知識の事前提供は従業員がパニック状態に陥ることを防ぎ、介護離職という企業リスクを回避できます。
親の住む地域の地域包括支援センターを調べることを周知する
介護の相談先として知っておいてほしい機関が地域包括支援センターです。地域包括支援センターとは高齢者の暮らしを支えるための地域の総合相談窓口で、全国の市町村に設置されています。地域包括支援センターの概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 | 従業員へのメリット |
| 設置主体 | 市区町村が地域の高齢者人口や地理的条件に応じて、必要な数を設置 | 公的団体が設置しているので信頼性が高く無料で相談できる |
| 主な機能 | 高齢者の生活全般を地域で支えるための総合相談窓口 | 介護の知識ゼロでも何から始めればよいかを教えてもらえる |
| 主要な役割 | 介護認定の申請代行や介護保険サービスの調整、ケアマネジャーの紹介など | 医療や福祉、介護の専門家による多角的なサポートを受けられる |
地域包括支援センターはどの地域にも必ず設置されている介護相談のよろず屋的な存在です。人事担当者は介護が必要になる前から地域包括支援センターの場所と連絡先を調べておくように従業員へ周知しておきましょう。
介護離職は他人事と考えずに早期から相談できる環境作りがおすすめ

介護離職は個人の問題であると同時に、企業の存続に関わる経営課題です。ただし、適切な知識と準備、職場の理解があれば多くの介護離職は防げます。従業員が一人で悩みを抱え込まず、早期にSOSを出せる環境を作ることが企業の風土醸成に有効です。
親の介護のことを相談しても評価は下がらないという心理的な安全性の保障や、仕事と介護の両立を全面的に応援するメッセージを発信しましょう。介護は誰しも訪れる社会課題です。今日からできる小さな一歩を、ぜひ踏み出してみてください。
介護支援プランの作成や従業員との面談など、要件を満たせば介護と仕事の両立支援等助成金が企業に対して支給される場合もあります。詳細は厚生労働省のホームページで確認できます。
» 厚生労働省「両立支援等助成金」(外部サイト)
